守ろう!地球を

水循環ROOM

水循環みずじゅんかんについて学ぼう!~

みず循環じゅんかんについて学ぼう!

こっちのルームは僕たちが毎日使っている水のことだのん

地球上ちきゅうじょうにある水の量

 みなさんが住む地球は、約70%が海におおわれており、「水の惑星(わくせい)」と呼ばれています。
 地球を循環じゅんかんする水には、海水かいすい河川かせんすい地下ちかすい雨水あまみずなどさまざまで、全体でおよそ14億k㎥あります。
 地球にある水の約97.5%は塩水です。川やみずうみや池などにある淡水たんすいは、わずか2.5%です。淡水たんすいは、私たちが日常にちじょう生活せいかつで使っている水ですが、地球上にある淡水の大部分は、南極なんきょく北極ほっきょくなどのこおり氷河ひょうがであったり、地下水ちかすいとして地中ちちゅうにあるため、川や湖沼こしょうの水のように、人が簡単に使うことができる水は約0.001おくk㎡しかありません。
 身近みぢかな物で分かりやすくたとえるならば、地球全体の水をお風呂の水(190ℓ)とすると、そのうち川や湖沼こしょうなどにある水の量は、大さじ1杯分(15mℓ)しかありません。この例えだけでも、人が使うことができる水がどれだけ貴重きちょうであるかがわかります。

地球上の水の量と構成比 地球上の水の量と構成比
出典:内閣官房水循環政策本部,2022,令和4年版水循環白書

人と水との関わり

 水は、私たちの日常生活で使ったり、工場で物を作るときや畑で野菜や果物くだものを育てたりするときにくことのできない限りある貴重きちょう資源しげんです。また、水や水辺みずべなどは、生活の中にうるおいとやすらぎも与えてくれます。

 水はその使われ方により、それぞれの呼び名があります。

家庭かてい用水ようすい…家庭で使う水道の飲み水、調理ちょうり洗濯せんたく風呂ふろ水洗すいせんトイレなど日常生活の中で使う水

生活せいかつ用水ようすい…家庭用水に飲食いんしょくてん、デパート、ホテル、オフィスなどで使う水や公園の噴水ふんすい公衆こうしゅうトイレで使う水などを加えたもの

工業こうぎょう用水ようすい…工場で作る製品せいひん原料げんりょうとなる水、工場のボイラーや部品ぶひんを洗ってきれいにしたり、冷やす時に使う水

農業のうぎょう用水ようすい…田や畑でお米や野菜や果物くだものを育てたり、牛やブタやニワトリなどを飼育しいくするために使う水

養魚ようぎょ用水ようすい…ウナギ、ニジマス、アユなど、魚のようしょくに使われる水

発電はつでん用水ようすい…川の水をダムにためて、電気を作るときに使う水

日本の水資源の現況 日本の水資源の現況
出典:国土交通省,2022,日本の水資源の現況

水循環みずじゅんかんとは

 地球上ちきゅうじょうの水は、太陽の熱で温められて海や陸から蒸発じょうはつしてくもとなり、やがて雨や雪になって再び地上ちじょうそそがれます。った雨や雪は、地上を流れ川に流れ出すものと、いったん地下にしみ込んで地下水としてたくわえられた後、地上にき出したり、そのまま地下を流れていくものがあります。そしてさまざまな形で人々に利用され、また海に戻るという循環じゅんかんかえします。これを「みず循環じゅんかん」といいます。
 この水循環の中で、川を流れる水を浄水じょうすいじょうに取り入れ、どろやごみなどを取り除いてから消毒しょうどくすることで、安全で安心して飲める水がつくられ、みなさんのお家に送られます。

健全な水循環の姿 健全な水循環の姿
出典:内閣官房水循環政策本部,2022,令和4年版水循環白書

おいしい水ができるまで(水道施設での流れ)

 水道に使う水は、川やダム、井戸いどから取り入れた水をきれいにすることで作られます。
 水道水は安全であると同時に、川などの水でそのまま飲むとおいしくないと感じる成分せいぶんを取り除く必要があります。安全できれいな水にすることを浄水じょうすいといい、次の手順てじゅんで行われます。

  • (1)不純物ぶじゅんぶつを取りのぞくための「ろ」をする

     きれいにする前の水には、にごりの原因になる物質ぶっしつや、人の健康けんこうあく影響えいきょうおよぼす物質が含まれていることがあります。すなや石のすき間を水が流れていく間に、それらの物質が取りのぞかれて、きれいな水になっていきます。これを「ろ」といいます。

  • (2)おいしい水にするための「処理しょり」をする

     きれいにする前の水には、健康けんこうには直接ちょくせつ影響えいきょうしませんが、そのまま飲むとおいしくないと感じる有機物ゆうきぶつなどの成分せいぶんふくまれることがあります。これは、産業さんぎょう発展はってんした反面はんめん、川の水の水質すいしつが悪くなってしまったことにより問題となりました。おいしい水にするため、これらの水質を改善かいぜんします。

  • (3)安全な水にするための「消毒しょうどく」をする

     きれいにする前の水には、大腸だいちょうきん一般いっぱん細菌さいきんが入っていることが多く、これらの微生物びせいぶつ塩素えんそのあるところでは生きられないので、塩素えんそ製剤せいざいを入れて消毒しょうどくします。この塩素製剤は、一般的に「カルキ」と呼ばれます。

水源すいげんかんよう機能きのう

 空から降った雨水あまみずを土の中にたくわえ、少しずつ川に流すことで、川の水が急に増えたり、減ったりすることを防いだり、水質すいしつをよくする働きを「水源すいげんかんよう」といいます。
 森林は、その「水源すいげんかんよう」の働きを持ち、みず循環じゅんかんの仕組みの中で「雨水を地下にしみ込ませて地下水をたくわえる」という重要な役割やくわりを果たしています。森林は、水を貯えて洪水こうずいを防いだり、じわじわとゆっくり川に水を流すことで川の水がれないようにしたり、水をきれいにしたり、私たちが安定して水を使えるようにしてくれています。このため、森林は、「緑のダム」とも呼ばれています。

森林内における水の動き(水源かん養機能) 森林の水源かん養機能
出典:内閣官房水循環政策本部,2022,令和4年版水循環白書p.34
資料)村井宏・岩崎勇作「林地の水および土壌保全機能に関する研究」(1975)を基に林野庁作成)

SDGs(エスディージーズ)と水

 日本では、水道の蛇口じゃぐちをひねれば、安心して飲むことができるきれいな水が簡単に手に入りますが、世界では現在も数十億人が安全な水やトイレを使うことができていません。雨がほとんど降らなかったり、水質すいしつが悪い地域がたくさんあり、みず不足ぶそくよごれた環境かんきょうが原因で病気になってしまい、多くの人が命を落としています。
 こうした深刻しんこくな問題があるため、国連こくれんは「SDGs(エスディージーズ)(=持続じぞく可能かのう開発かいはつ目標もくひょう)」の中で、2030年までに達成たっせいすべき17の目標のうち、6番目に「安全な水とトイレを世界中に」をかかげています。

SDGs6 安全な水とトイレを世界中に SDGs6 安全な水とトイレを世界中に
目標を達成するために必要な6つの具体的なターゲットが設定されています。調べてみてね!

静岡県の現状げんじょう

  • 水源すいげん状況じょうきょう

     海や川のように地上に見えている水を地表ちひょうすいといい、地面の下にある水を地下ちかすいといいます。
     静岡県の地表ちひょうすい利用りよう状況じょうきょうは、昭和45年からやや減少げんしょうしています。地表水のうち、家庭や学校など生活に使う量は増えていますが、工場で使う水や農作物のうさくもつなどを育てるために使う量は減っています。
     地下水の利用りよう状況じょうきょうは、地下水ちかすいから地表ちひょうすい水源すいげんを変えたり、水を上手に使う方法を考えたりすることなどにより、昭和45年以降、少しずつ減っています。

    静岡県の給水量の推移(1975-2020) 静岡県の給水量の推移(1975-2020)
    出典:静岡県,2022,R2静岡県の水道の現況
  • 水道すいどう普及率ふきゅうりつ

     水道は人が生きていく上で非常ひじょう重要じゅうよう施設しせつです。静岡県内でも、昭和しょうわから平成へいせいの時代にかけて、一人でも多くの県民が水道からの水が使えるように、水道すいどう施設しせつ普及ふきゅうが進められました。現在では、99%の県民が水道水を使って生活をしています。

    水道普及率の推移 水道普及率の推移
    出典:静岡県,2022,R2静岡県の水道の現況
    水道普及率の推移 水道普及率の推移
    出典:静岡県,2022,R2静岡県の水道の現況
  • 水道水の使用しよう状況じょうきょう

     水道すいどう施設しせつ普及ふきゅうするにつれ、使用される水道水の量(給水きゅうすいりょう)も増加ぞうかしました。
     その後は人口の減少げんしょう節水せっすい器具きぐの普及につれて使用しよう水量すいりょう減少げんしょう傾向けいこうとなっています

    静岡県内の給水量の推移 静岡県内の給水量の推移
    出典:静岡県,2022,R2静岡県の水道の現況

静岡県はこんなことに取り組んでいます

  • 水利すいり調整ちょうせい

     雨が降らない期間が長く続くと、使いたい水の量に対して川やダムの水の量が少なくなることがあります。このように水が不足している状況じょうきょうを「渇水かっすい」と呼びます。渇水かっすい時に、いつもと同じように水を使い続けると、ダムにめた水が無くなってしまいます。
     渇水かっすいが近づくと、水を使用する人たちの代表者が集まって、発電に使う水の量を少なくしたり、水道すいどう用水ようすい工業こうぎょう用水ようすい農業のうぎょう用水ようすいのために川から取る水の量を減らすなどの対策たいさくを話し合います。これを水利すいり調整ちょうせいといいます。
     また、この水利すいり調整ちょうせいの結果、水道用水、工業用水、農業用水のために川から取る水の量を減らすことを、「取水しゅすい制限せいげん」といいます。

    節水対策実施日数 節水対策実施日数
    出典:静岡県,2022,環境白書_詳細版
  • 地下ちか水位すいい塩水化えんすいか地盤じばん沈下ちんか調査ちょうさ

     高度こうど経済けいざい成長せいちょうの1960~70年代に地下水ちかすいをくみ上げる量が大幅おおはばに増え、地下ちか水位すいい異常いじょう低下ていか、地下水に海水かいすいざってしまう塩水化えんすいかなどの問題が発生しました。静岡県では条例じょうれいきびしいルールを作り、それまで使い放題ほうだいだった地下水のくみ上げ量などについて、規制きせいをしました。
     地下水をいつまでも利用できるようにするには、地下ちかすい水位すいい塩水えんすい状況じょうきょうを調べることが必要です。静岡県では1968年頃から調査ちょうさよう井戸いどって、地下ちか水位すいい塩水えんすいを調べています。
     また、地下ちかすいのくみ上げ過ぎによる地盤じばん沈下ちんかをできるだけ早く発見し、周辺の住民にお知らせするために、一級いっきゅう水準すいじゅん測量そくりょうという調査ちょうさを行っています。
     この方法に加えて、静岡県では、2020年から人工じんこう衛星えいせいによる地盤じばん沈下ちんか調査ちょうさを全国で初めて実施じっししました。人工衛星で宇宙うちゅうからうつした画像をくわしく調べることにより、地盤じばんの高さをはかる方法です。

    人工衛星  
  • 静岡県しずおかけん水循環みずじゅんかん保全ほぜん条例じょうれい制定せいてい

     静岡県は、地球ちきゅう温暖化おんだんかによる気候きこう変動へんどうなどが原因で水循環みずじゅんかんが変化してしまい、洪水こうずい渇水かっすいなどが県民の命や生活をおびやかすことが心配されるため、令和4年3月に静岡県しずおかけん水循環みずじゅんかん保全ほぜん条例じょうれいを作りました。
     この条例に基づいて、水源すいげん地域ちいきを守ることなどにより、健全けんぜん水循環みずじゅんかんを今後もたもつことができるように取り組んでいます。

  • 水道水すいどうすい安定あんてい供給きょうきゅう水道すいどう広域化こういきかなど)

     現在、市町などが行っている水道すいどう事業じぎょうについては、施設しせつ耐震化たいしんかおくれや老朽化ろうきゅうかが進むなど、安全性・持続性じぞくせい低下ていかが心配されています。
     静岡県では、市町ごとに運営うんえいしている水道すいどう施設しせつを、広い地域で共有きょうゆうし一緒に経営けいえいした場合の試算しさんをしてみたところ、水道事業に必要な費用ひようを減らすことができ、水道すいどう料金りょうきん上昇じょうしょうおさえることができる場合があるということが分かりました。これを水道事業の広域化こういきかといいます。

    水道水  

何ができるかみんなで考えてみよう!

  • 水をむだにしない節水せっすいを心がける

    • ハンドソープや石けんで手を洗うときやをみがくときには蛇口じゃぐちをしめる。
    • お風呂の残り湯を洗濯せんたく掃除そうじに利用しよう。
    • お風呂でかみや体を洗うときには、シャワーを出しっぱなしにしない。
    • 水洗すいせんトイレの大小レバーを使い分けよう。
    節水  
  • 水をよごさない

    • 川やみずうみなどにゴミなどをてない。ゴミがあったらひろってあげよう。
    • 洗剤せんざいやシャンプーを使い過ぎない。
    • 食器しょっき油汚あぶらよごれはふきとってからあらおう。
    • 食べ残しや飲み残しをらそう。
    食器の汚れをふき取る  
  • 節電せつでん節水せっすいにつながる

    • 電気を節約せつやくしよう。
    • 水力すいりょく発電所はつでんしょで発電する電力を増やすと、発電するために使う水の量を増やすことになります。
      使用する電力が少なければ、発電に使う水の量も少なくてむので、節電せつでん節水せっすいにつながります。
    節電